腰痛に対する鍼灸マッサージの適応

 

🟠鍼灸マッサージで対応可能なもの

 

◯筋・筋膜性腰痛

 

長時間同一姿勢や過労により生じる筋緊張

 

触診での圧痛点、硬結、可動域制限を確認し、鍼灸・手技で筋緊張を緩和

 

◯慢性腰痛症

 

画像上、明確な器質的異常がない腰痛

 

血流改善、自律神経調整、体幹筋の過緊張緩和が目的

 

◯運動器由来の軽度~中等度の腰部不快感

 

姿勢不良、冷え、体力低下、ストレス因子が関与する症例

 

鍼灸による経絡調整、マッサージによる循環改善を適用

 

◯術後・保存療法後のリハビリ的ケア

 

医師の診断治療後に残存する筋緊張・違和感への補助療法

 

■鍼灸マッサージでは対応できないもの

 

◇緊急性を要する腰痛

 

馬尾症候群(膀胱直腸障害、下肢麻痺など)

 

高度な圧迫性神経障害による進行性の筋力低下

 

高熱・悪寒を伴う脊椎感染症(化膿性脊椎炎・椎間板炎など)

→ 直ちに医療機関での精査・加療が必要

 

◇明確な器質的疾患が原因の腰痛

 

腫瘍性病変(転移性骨腫瘍など)

 

重度椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症による強い神経症状

 

骨折、外傷性障害

→ 画像検査・外科的治療が主体

 

 

 

◇内臓性腰痛

 

腎疾患(尿路結石、腎盂腎炎)

 

婦人科系疾患(子宮内膜症など)

 

大動脈瘤など循環器疾患

→ 原疾患治療が優先

 

 

 

◇薬物療法が必要な症例

 

鎮痛薬、抗炎症薬、ブロック注射などが必要な急性疼痛

 

✳️まとめ

 

鍼灸マッサージは 筋・筋膜性腰痛や慢性腰痛に有効

 

ただし 神経障害や内臓疾患が関与する腰痛は受診へ

 

医療機関での診断を前提に、補助療法・再発予防・QOL改善の役割

 

 

🔹参考文献・出典

本ページの内容は、最新の医学的知見および公的ガイドラインに基づき作成しています。

鍼灸マッサージによる腰痛への対応範囲・限界について、以下の文献を参考にしています。

📚 参考文献・出典一覧

1. 日本整形外科学会(2021)

 『腰痛診療ガイドライン 2021』日本整形外科学会診療ガイドライン委員会.

2. 厚生労働省(最新版)

 「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律」

 および「医業類似行為に関する取扱いについて」通知.

3. 日本鍼灸師会(2020)

 『鍼灸臨床における安全性ガイドライン』.

4. 日本理学療法士協会(2019)

 『慢性腰痛に対する理学療法ガイドライン』.

5. 日本伝統鍼灸学会学術部(2022)

 『腰痛に対する鍼灸治療のエビデンスレビュー』.

6. 日本ペインクリニック学会(2020)

 『慢性疼痛治療ガイドライン(第2版)』.

※こちらの情報は、日本整形外科学会・日本鍼灸師会などの公的ガイドラインを参考に作成しています。

医療機関での診断・治療を妨げるものではなく、鍼灸マッサージによる補完的ケアを目的としています。